SCC(Spinning Cone Column) スピニング・コーン・カラム
SCCとは、気液接触カラムにより液体および液状物(スラリー)から香気成分の高効率回収・保存を可能にするシステムのことです。
これにより、果汁およびその関連商品、紅茶、緑茶、コーヒー、ノンアルコール飲料、アルコール飲料その他食品製造の風味開発に役立てられています。
SCC(オーストラリアのフレーバテック社開発)の元は1936年に開発されたカラムです。
このタイプのカラムの有用性は、重水製造時の同位体の分離に使われ、その高性能が証明されました。
戦後、オーストラリアの科学者、ドナルド・カシミア博士によりアメリカコーネル大学でカラムの商業利用が研究されました。その後、同博士はCSIRO(Commonwealth Scientific & Industrial Research Organization)のメンバーとしてさらに高効率に大量生産を可能にした方法を開発し、今日のSCCの原形となっています
SCCを用いるメリット
- 精留工程を経ずに香気成分の濃縮が可能
- 壊れやすい揮発成分の完全な回収が可能
- 同じ原料を処理しても、パラメーターの変更により異なるキャラクターを持った香気成分の回収が可能
- オフフレーバーの除去が可能
- 様々な物性の原料の処理が可能(スラリー、粘性の高い原料等)
- 香気成分の回収と可溶性固形分の抽出が同時に行える
- パラメーターの変更等、オペレーションが容易
- 連続式であることから、製品の品質が安定する
- CIP機能により洗浄性が高い
製品
SCC100
SCC100は、ラボに設置可能な装置又は試験機として設計されました。
同システムは、固定可能なキャスターが取付けられたコンパクトなスキッド上に設置され、システムには、熱交換器、制御盤、コンデンサー及びポンプ等が含まれます。
SCCは、高効率の気液向流接触型の装置です(すなわち蒸留又はストリッピングカラム)。SCCの特徴は、気相液相間の接触を機械的な力で強化する点にあります。
SCC100を使用することにより、素早く、かつ効率的に以下の原料から香気成分を回収又は濃縮することができます。
- コーヒー及びお茶エキス
- 果物及び野菜果汁
- 濃縮器のコンデンセート
- SCCで回収したアロマの濃縮
スペック及び要件
名目流量 | 25~115L/h |
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原料供給温度 | 20°C |
原料排出温度 | 40°C |
制御盤 | スキッド上 |
制御電圧 | 12V |
蒸気 | 3 Bar(g) |
電力 | 380 to 460V (3相) |
チラー水 | 2 to 3 Bar @ 2℃ |
計器用エアー | 6 to 7 Bar(g) |
寸法 | 800 x 1,692 x 2,169 mm (WxDxH) |
CIP洗浄 | CIP循環タンクへのCIP薬剤の手動添加 |
自動操作 | 半自動化制御であるレベル3制御システム |
以下のタッチスクリーンを含むPLC:
- 制御ループの自動操作(流量、供給温度、精製水のスチームジェネレーターへの供給)
- 自動制御に対するインターロック
- モーターの始動/停止
- 主要プロセス変数のリアルタイム動向
- プロセスミミック
- 包括的なアラーム機能
管路設定は手動です。
SCC M1000(スタンダード)
カラム寸法 | 直径300mm×高さ約3,700mm |
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キット寸法 | 幅:2,050mm 奥行き:2,250mm 高さ:3,845mm* |
重量 | 約3,000kg |
処理能力 | スラリー(懸濁液) 最大700L/h** |
水のような原料 | 最大1,000L/h** |
*標準的な寸法であり、最終的なデザインにより異なります。
**原料の物性及び運転状況により変化します。
SCC M10000(スタンダード)
カラム寸法 | 直径1,000mm×高さ約4,000mm |
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キット寸法 | 幅:5,700mm 奥行き:2,250mm 高さ:5,000mm* |
重量 | 約10,000kg |
処理能力 | スラリー(懸濁液) 最大5,000L/h** |
水のような原料 | 最大10,000L/h** |
*標準的な寸法であり、最終的なデザインにより異なります。
**原料の物性及び運転状況により変化します。
SCCの特徴
寸法(L x W x H) | 重量 | 最大流量(水) | 最大流量(スラリー) | |
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SCC M100 | 1,692mm x 800mm x 2,169mm | 約1,000kg | 115L/hr | スラリー非対応 |
SCC M1,000 | 2,050mm x 2,250mm x 3,840mm | 約3,000kg | 1,000L/hr | 700L/hr |
SCC M10,000 | 6,750mm x 2,250mm x 5,265mm | 約10,000kg | 10,000L/hr | 5,000L/hr |
世界に誇る気液接触カラムによるクオリティの高さ
SCCのユニークなデザイン構造は、食品の加工時に損失劣化する微妙な香気成分を、世界に先駆け高速、高効率、低コストに液、液状物(スラリー)より回収・保存を可能にしました。
天然の果実香気成分をまるごと回収
今までコーヒー、果汁・野菜ジュースなどの食品・飲料は加工処理の工程でおいしさの大きな要素を占める香気成分が損失・劣化してしまいました。SCCは気液接触カラムの蒸留方式により香気成分を分離回収・保存させ、従来の香気成分の劣化の問題をクリアーしました。
ブルーイング(お茶・コーヒー)、肉、魚から最適香気成分を回収
お茶、コーヒー、肉、魚などの香気成分は加熱加工工程の化学反応で生じるものですが、一番好ましい香気成分だけを分離回収するのは非常に難しいものです。SCCはこれらの香気成分を正確に分離回収することを可能にしました。
ノンアルコールワインでも威力を発揮
ノンアルコールワインや低アルコールワインはSCCによる低温処理で微妙な香気成分を回収。高効率のため原料の0.5%を回収すれば充分な香気成分が得られます。
SCCを用いることにより、ワインの風味を損なうことなくアルコール含有量を0.5%以下に低減させることが可能です。また、樹脂カラムを組み合わせることにより、これを0.05%以下に低減させることが可能です。
ワイン、日本酒、ビール等のアルコール度数の調整に利用可能です。
残り粕からも香気成分を効率的に回収
従来までは、皮、葉、パルプ、種子、酒の絞り粕などは、十分な香気成分を持っていながら廃棄されていましたが、これらの廃棄物もスラリー状にしてSCC処理により、それぞれの香気成分を回収して還元することを実現しました。
※還元しない場合は、天然回収香料として販売できます。
乳製品・ワインなども低コストに商品化
乳製品・ワインなどでも不快な匂いのため商品価値の低いものは、SCC処理により低コストで商品価値を高めることが可能になりました。このように不快な匂いの除去などでも威力を発揮します。